下仁田ネギ

下仁田ネギの特徴

下仁田ネギ は、群馬県甘楽郡下仁田町の特産の太く短いとても特徴的な一本ネギです。

下仁田町は平野部が少ないため作付け面積が狭く、本場の下仁田産下仁田ネギは市場にほとんど流通しておりません。

下仁田では他の地方同様に高齢化が進み生産者も年々少なくなってきています。

当ファームでは、下仁田ネギの伝統栽培方法である二度の植替えをすることが、美味しい下仁田ネギを作る秘訣と考え、伝統の下仁田ネギの生産を絶やさないようにしていきたいと思っております。

下仁田ネギ

栽培地域

下仁田地区以外でも作られていますが、下仁田町の土壌や気候条件が揃うことで、下仁田ネギ特有の肉質を持つ、しまりの良い本物の下仁田ネギを作ることが出来ます。

特に、下仁田町馬山地区の鏑川・横瀬川・鎌田川に沿ったエリアは粘質土壌で肥沃であることから、下仁田ネギの栽培にとても適しています。
土地に適したものを作る「適地適作」が大事なんだと思います。

種まきから収穫まで

下仁田ネギは、種まきから収穫まで約15ヵ月かかります。

一般的な根深ネギは7~8ヵ月くらいですので倍近くの栽培期間が必要となり、その分非常に手がかかります。

10月

ネギ坊主

種まき

4月に形のいいものを厳選し、ネギ坊主から種を採種します。種苗会社でも下仁田ネギの種を売っていますが、下仁田のネギ農家は厳選された自家採種した種をまきます。

(写真は、4月のネギ坊主の様子)

11月

ネギ苗

種まきから約2週間すると苗が生えてきます。

この間、雑草も生えてきます。ネギ苗は雑草に負けてしまうので、手で1本1本雑草をとります。

4~5月ネギ植え仮植え

寒い冬を越え、元気に育った苗を広い畑に植え替えます。

苗を掘るところから始め、一本一本手作業で植えていきます。植える間隔は夏よりも狭くなります。

7~8月

夏の植え替え

植え替え

夏の植え替えも一本一本手作業で行います。

植え替えをすることによりネギの根が切れ、もう一度根を張ろうとしてたくましくなり、より美味しいネギになります。

10月

土寄せ

土寄せ

土寄せは収穫日から逆算して行います。

ここまでくると収穫まであと1歩です!

ここから下仁田町はグッと冷え込んできますが、ネギはより甘くなってきます。

12月

下仁田ネギの収穫

収穫

ネギを掘り約半日天日干しします。半日干すことによりより甘くなるとされています。また、ネギの緑の部分が柔らかくなることで箱詰めすることが出来ます。

11月に収穫されることもありますが、霜が数度おりた12月以降のものが一番美味しくなります。

伝統的な栽培方法

夏の植え替えは下仁田特有の伝統栽培方法で、他の地域で夏の植え替えをしているという話はあまり聞きません。

しかし、下仁田でも他の地域と同じく高齢化が進み、夏の植え替えをする農家さんが少なくなってきています。

私の隣の畑のおばあちゃんは、現在94歳で元気に下仁田ネギを生産しています。下仁田では80歳を超えてなお現役農家の方が多いです。

しかし、夏の植え替えは非常に過酷で、昼間の作業は熱中症になり命にかかわってきます。

そういった理由から夏の植え替えが出来なくなってしまった農家さんもたくさんいます。

 

夏の植え替え

夏の植替えでは、根づいているネギを掘り起こし、畑に植えなおします。

なぜ、わざわざ植え替えをするかというと、ネギを掘り起こした際に根が切れ新たに根を張りなおすため、ネギが夏から秋に向けてさらに成長しより太く美味しくなると言われています。

真夏の炎天下に1本1本ネギを植え替えていくことは非常に過酷ですが、その伝統的な栽培方法を守っていきたいと考えています。

下仁田ネギの歴史

下仁田ネギについての由来は明らかではありませんが、

江戸文化2年11月8日付で『ネギ200本至急送れ、運送代はいくらかかってもよい』という趣旨の江戸大名、旗本からのものと思われる名主宛の手紙が残されており、当時すでに下仁田ネギが栽培され、珍重されていたことがわかっています。

下仁田ネギは別名「殿様ネギ」と呼ばれるのはこのためです。

明治以前は主に旧下仁田町周辺農家により自家消費を中心に栽培されていたようです。

平地で栽培されるようになったのは明治に入ってからで、大正時代に入り現在の主産地である下仁田町馬山地区で盛んになりました。

昭和に入って一部篤農家による皇室への献上や上毛カルタに「ねぎとこんにゃく下仁田名産」と詠まれていることから知名度が高くなったと考えられますが、これに伴って、群馬・長野の両県農事試験場が栽培試験をてがけましたが、長野では育ちが悪く、群馬(前橋)では育ちすぎて葉が硬直するなど食べ物にならなくて、結局「下仁田ネギは下仁田におけ」という結果に終わったとのいわれもあります。